「頭金なし」「毎月の支払いが一定」などの手軽さから、最近カーリースを選ぶ人が増えています。税金や保険、点検費用などが月額に含まれているプランも多く、家計管理がしやすいのもポイントです。
ただ、気軽さだけで契約してしまうと「こんなはずじゃなかった」と後悔するケースもあります。カーリースには購入とは違う注意点やデメリットもあるので、しっかり理解しておくことが大事です。

この記事では、カーリースの注意点を専門的な視点からわかりやすく解説します。
カーリースが「デメリットだらけ」といわれる主な理由
カーリースは「注意点が多い」と言われることがありますが、その理由はローン購入とは仕組みが大きく違うからです。
特に、「長期契約」「残価の設定」「車の所有権がない」といったカーリース特有のルールが影響しています。



こうした仕組みは、人によっては不便に感じることもあるため、使う前にしっかり理解しておくことが大切です。
事例 | デメリット |
---|---|
長期契約・定額支払い | 原則中途解約不可のため、高額な違約金が発生する ボーナス払い設定で家計を圧迫するリスクがある 維持費等に金利相当分が含まれ、購入より総支払額が割高になる可能性がある |
残価設定 | 契約満了時の残価精算で予想外の高額請求が発生するリスクがある(※1) 走行距離制限を超過すると追加料金が発生する |
所有権がリース会社 | 返却時に原状回復義務があり、修復費用が発生することがある カスタマイズやドレスアップが自由にできない |
契約満了時に基本的に返却 | 契約終了後、車が最終的に自分のものにならない |
その他 | 利用には審査が必要 事故時の修理費負担や全損時の強制解約リスクがある |
※1:主にオープンエンド契約の場合



それでは、これらのデメリットを一つずつ詳しく見ていきましょう。
簡単にやめられないの?カーリースの中途解約と高額な違約金
突然のライフイベントでカーリースを途中解約できず、思わぬ違約金に頭を抱えた経験はありませんか?カーリースは契約期間中に車両代や維持費を回収する仕組みのため、原則として中途解約が認められていません。転勤や長期入院、失業、運転免許の返納、事故による全損といったやむを得ない事情があっても、残りのリース料や残価と査定額の差額、事務手数料などが請求され、数十万円から100万円を超えるケースもあります。
見かけの月額料金が魅力的でも、途中で契約を打ち切ると大きな負担を強いられる可能性があります。だからこそ、契約前には将来のライフプランをじっくり検討し、無理なく契約期間を完了できるかを確認しましょう。また、中途解約の条件や違約金の計算方法は必ず契約書でチェックしてください。さらに、万が一の事故や事情変更に備え、違約金を補償する専用の保険加入も検討すると安心です。
家計に響くかも?カーリースのボーナス払いの落とし穴
ボーナス払い付きのカーリースは、月々の支出を抑えたい人に魅力的に映ります。しかし一度契約すると、支払い額は原則として変更できません。たとえば、転職や業績悪化でボーナスがカットされても、契約どおりの高額を支払い続ける義務が生じます。子育て世代が学費や住宅ローンの支払いと重なる夏や冬のボーナス月、旅行や帰省の出費と重なる年末年始など、家計の負担が急増するケースも少なくありません。
長期契約が基本のカーリースでは、この不安定さが数年単位で家計を圧迫します。リスクを抑えたいなら、最初から毎月一定額を払う「均等払いプラン」を検討しましょう。均等払いなら収入変動に左右されず、資金計画が立てやすくなります。また、ボーナス払いあり・なし双方の総支払額を比較し、自分のライフスタイルに合ったプランを選ぶことが大切です。
実は割高になることも!カーリースの総支払額に注意
お得に見える「初期費用不要」「毎月一定」のカーリース。しかし、総支払額で比較すると、購入より割高になるケースが少なくありません。月額には車両代だけでなく、税金や保険料、整備費用、リース会社の利益や手数料、金利相当分まで含まれています。そのため、本来は金利が発生しない項目にも費用が上乗せされ、トータルコストが膨らむのです。
さらに、契約期間が延びるほど支払総額の差は拡大。現金一括や低金利ローンとの比較を怠ると、気づけば負担が大きくなっていることもあります。損を避けるには、カーリースとローン購入の総支払額を事前に試算し、複数社の条件を比較検討しましょう。月々の支払いを抑えたいなら、7~9年の長期契約も選択肢ですが、中途解約リスクが高まる点には要注意です。
カーリースの残価精算リスク!契約満了時に追加請求が発生することも?
カーリースの「残価精算」を理解していますか?特にオープンエンド契約を選ぶと、契約満了時に設定した残価と実際の査定額との差額を支払う義務が生じます。査定額が下回れば、数万円から十万円単位の追加請求に。市場の中古車相場下落や、キズ・へこみ、過度の走行距離が重なると、そのリスクは一層高まります。逆に、査定額が残価を上回る場合は返金されることもありますが、稀なケースです。
この不安を回避するには、クローズドエンド契約の検討を。月額は若干高くなるものの、満了時の費用負担が明確で安心です。オープンエンド契約を利用するなら、日々のメンテナンスと丁寧な運転で車両状態を良好に保ち、走行距離を管理しましょう。契約前に残価設定や精算ルールをしっかり確認することも忘れずに。
走行距離の制限と追加料金に注意
多くのカーリース契約には、月間1,000~2,000キロメートル、年間では12,000~24,000キロメートルといった走行距離の上限が設けられています。これは、契約終了時の車両価値(残価)を保つための措置です。
走行距離が制限を超えると、その超過距離1キロメートルごとに数円から十数円の追加料金がかかることが一般的です。年間で数千キロメートルを超えると、結果として数万円の負担となることもあります。
通勤距離が長い方や、週末に遠出をする機会が多い方は特に注意が必要です。ご自身の年間走行距離を把握し、余裕のあるプランを選ぶようにしましょう。長距離運転が多い方は、契約期間が7年以上といった条件付きで、走行距離に制限のないプランを選択することも可能です。あわせて、契約前にプランの変更が可能かどうかも確認しておくことをおすすめします。
小さな傷も原状回復の対象になることも…
カーリースの返却時に、思いがけず請求されることがある「原状回復費用」についてご存じでしょうか。これは、借りたときの状態に車両を戻すためにかかる費用であり、小さな傷や凹み、汚れ、においなども修復や清掃の対象となる場合があります。
査定担当者の判断によって、通常の使用による損耗か、それ以上の損傷と判断されるかが分かれるため、費用面でトラブルとなることもあります。日ごろから車両を丁寧に取り扱い、車内外を清潔に保つことが重要です。
契約時には、原状回復における免責の範囲や補償オプションの内容についてしっかり確認し、必要に応じて加入しておくと安心です。もし原状回復費用の発生を避けたい場合は、契約終了時に車両を返却しない「買取プラン」を選ぶことで、そうした心配を軽減することができます。
自由にカスタマイズできない?カーリースにおける装備変更の制限
自分だけの一台に仕上げたいと思う方もいるでしょう。しかし、カーリースでは所有権がリース会社にあるため、大幅なカスタマイズは原則禁止です。これは車の安全性や再販価値を守るために設けられています。
たとえば、エアロパーツの取り付け、マフラー交換、車高調整、ホイールのインチアップなどの改造は、契約上ほとんど認められていません。ナビやETCの設置は可能な場合もありますが、穴あけや跡が残る施工は避けましょう。ステッカーも塗装に影響する恐れがあるため、安易に貼らないほうが賢明です。
無断で改造した場合、原状回復費用の請求や契約解除の可能性もあります。契約前に、装備変更の可否をリース会社に確認しておくことが重要です。
個性を重視したい方は、シートカバーや芳香剤など、簡単に取り外せるアクセサリーを活用するのがおすすめです。また、契約満了時に車が自分のものになる「もらえるプラン」を選べば、将来的に自由なカスタマイズも可能になります。
最後には手放すことに?所有できないというカーリースの性質
カーリースは購入ではなく、契約終了後に車を返却するのが前提です。長く乗って愛着が湧いても、資産にはならず、最終的には手放すことになります。
再リースや買取が可能なプランもありますが、手続きが複雑だったり、買取価格が相場より高いケースもあります。契約前に内容と費用を確認し、納得して選ぶことが大切です。
こうした不安を避けたい場合は、契約満了時に追加費用なし、または少額で車を譲り受けられる「もらえるプラン」を検討しましょう。
一方で、カーリースを「所有」ではなく「利用」と割り切り、定期的に新しい車に乗り換えるスタイルを楽しむという選択肢もあります。自身のライフスタイルや価値観に合わせて、最適なプランを見極めましょう。
誰でも利用できるとは限らない?カーリースの審査の壁
カーリースを利用するには、カーローンと同様にリース会社の審査に通る必要があります。審査では、支払い能力や信用情報が総合的に判断されます。
具体的には、年収や勤務先、勤続年数などの「収入や職業の安定性」、ローンやクレジットの利用状況、返済履歴、債務整理歴などの「信用情報」が確認されます。
そのため、収入が不安定な方、勤続年数が短い方、多額の借り入れがある方、過去に延滞や債務整理を経験した方は、審査に落ちる可能性があります。
不安がある場合は、事前にリース会社に相談しましょう。保証人の設定、頭金の支払い、車種の見直しなど、代替案を提案してもらえることがあります。また、一部の会社では、本申込前に利用可否の目安が分かる簡易審査も受けられます。
信用情報に不安がある場合は、CICやJICCに情報開示を請求することで、事前に確認できます。安心して申し込むためにも、状況を把握しておくとよいでしょう。
万が一の事故に備える
カーリース車で事故を起こした場合、購入車とは異なる注意点があります。事前に理解し、適切に備えることが大切です。
まず、事故による修理費は原則として自己負担です。過失の有無にかかわらず、通常のメンテナンスプランではカバーされません。
さらに、車が全損(修理不能、または修理費が時価を上回る)と判断された場合、契約は強制的に解約となり、中途解約金(違約金)が発生します。残期間や残価設定によっては、高額になることもあります。
このリスクに備えるには、任意保険への加入が不可欠です。対人・対物賠償は無制限が望ましく、車両保険にも入っておくと安心です。
ただし、車両保険の補償には限度があり、市場価値を上限として支払われるため、違約金をすべてカバーできないこともあります。
そのため、契約時には中途解約費用を補償するリースカー特約付き保険や、免責金額を低く設定した保険の検討がおすすめです。
そして何より、日頃の安全運転が最大の予防策です。事故に備えると同時に、未然に防ぐ意識も持ちましょう。
デメリットだけじゃない!カーリースのメリット再確認
これまでカーリースのデメリットを中心に解説してきましたが、もちろんメリットも多くあります。選択を誤らないためには、デメリットとあわせてメリットも理解しておくことが重要です。以下に主な利点を整理します。
初期費用が不要
頭金や登録諸費用がかからず、まとまった資金なしで新車に乗り始められます。
月々の支払いが一定で家計管理がしやすい
自動車税や自賠責保険料が月額料金に含まれ、突発的な支出を抑えられます。メンテナンスプランの利用で、さらに見通しが立てやすくなります。
希望の車に手が届くことも
残価設定により、車両価格の全額を負担せずに済むため、購入では難しかったグレードや車種を選べる可能性があります。
手続きが簡単
オンラインで契約を完結できるサービスも多く、納税や車検の手間が軽減される場合があります。
常に新しい車に乗れる
契約満了ごとに新しい車へ乗り換えられるため、最新の車を楽しめます。
法人・個人事業主にとっては経費計上しやすい
月額料金は経費として扱いやすく、減価償却のような複雑な処理が不要になる場合があります。



これらのメリットが、紹介したデメリットよりも自分にとって重要だと感じられるなら、カーリースは有力な選択肢となります。ライフスタイルや目的に合わせて、総合的に検討しましょう。
まとめ:カーリースのデメリットを理解して賢く判断することが大事
カーリースは手軽に新車を楽しめる反面、中途解約のハードルや違約金、走行距離制限、残価精算リスク、カスタマイズ制限、原状回復費用、総支払額の高さ、所有できない点、審査や事故負担など、多くの注意点が潜んでいます。
特に長期契約はライフプランの変化に対応しづらく、月額の安さに惑わされると、総支払額で購入より高くつくことも。借り物ゆえの制限が思わぬストレスを生む可能性もあります。
後悔しないために、まずは自分の転勤や走行距離、カスタマイズの要望、所有意欲、支払い重視かどうかを見極めましょう。合わないと感じたら、ローン購入や中古車購入を検討する価値があります。
一方、クローズドエンド契約や走行距離無制限プラン、もらえるプランを活用できるなら、カーリースは賢い選択肢です。複数社を比較し、中途解約や残価精算、原状回復費用の扱いを確認して最終判断してください。
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